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庭園・ガーデン・植物園・花の名所の訪問記

庭園・ガーデン・植物園・花の名所の訪問記

国営越後丘陵公園(ながおか香りのばら園)

国営越後丘陵公園は新潟県長岡市にある国営公園。名前の通り、高低差がある丘陵地域に広がる大きな公園で、山あり谷あり平地ありの、とても変化が多い施設となっています。
一方で、公園内には「ながおか香りのばら園」という、バラの香りにこだわった比較的規模の大きなバラ園があります。また、チューリップやコスモスといった大規模な花畑、丘陵部分にあるユキワリソウやカタクリといった野趣のある花の群生地も楽しめ、各花の開花最盛期に合わせれば、花を目当てに遠方から訪れても十分満足できる施設となっています。
こちらでは、サイトの趣旨に合わせて、主にながおか香りのばら園に焦点を当てて紹介します。

公園全体地図(クリックすると別ウィンドウが開きます)

公園全体地図
非常に広大な公園で、初めて来た場合は戸惑うかもしれません。しかし、花の見所でいえばポイントがはっきりしており、早春はカタクリとユキワリソウの群生地。春バラの季節であればバラ園、秋バラの季節であればバラ園と花畑のコスモスといった具合です。
訪れた季節の花の見所に沿って、園内を効率よく巡るとよいでしょう。
(なお、地図は現状に合わせて私の方で少し変更を加えています。)

健康ゾーン拡大地図(クリックすると別ウィンドウが開きます)

健康ゾーン拡大地図
公園は大きく健康ゾーンと里山フィールドミュージアムの2つに分かれており、主な花の見所である、ながおか香りのばら園と花の丘の花畑は上記画像の健康ゾーン側にあります。
このページでは健康ゾーン側にあるウェルカムゲートから入園し、ゲート近くにあるバラ園を巡った後、その他の主な見どころについても紹介します。

ウェルカムゲート

ウェルカムゲート
路線バスのバス停や、大きな駐車場に面した、正面入口となるウェルカムゲート。国営公園らしい立派な佇まいです。
ここで入園料を払って園内に入りましょう。

ながおか香りのばら園

系統や花色だけでなく、香りにもこだわったバラ園。様々なテーマでエリア分けされており、個々の花はもちろん、バラ園全体としてのボリューム感がある景色も楽しめます。

なお、バラの見ごろは例年、春バラが5月末~6月下旬頃。秋バラが10月初旬~11月初旬頃となっています。訪問の際は、改めて公式サイトやSNS等で開花状況を確認しておきましょう。
また、バラ開花期に合わせてイベントが開催されるので、そちらもチェックしてみるとよいでしょう。

入口付近

ながおか香りのばら園入口付近
ウェルカムゲートから園内に入ってすぐ左手にある、ながおか香りのばら園の入口。
メインの園路は広く、車椅子やベビーカーでも散策しやすいです。

原種・オールドローズのエリア

原種・オールドローズのエリア
原種や、モダンローズが作出される以前のオールドローズが咲くエリア。
ひとつひとつの花は素朴な印象を受ける品種が多いですが、すでに香りが良いものも多いです。
一季咲き種が多く、春バラの季節はポプラの樹に絡まったつるバラが咲き見栄えがします。一方で、秋バラの時期は咲いている花が少なくなります。

ばらと草花のエリア

ばらと草花のエリア
ばらと草花のエリア(ガーランド)
バラと、宿根草などの草花を組み合わせたエリア。
多種多様な植栽から生まれる、季節感のある変化に富んだ景色が魅力で、ながおか香りのばら園の中でも見所が多いエリアとなっています。

ばらと草花のエリア(バラのアーチ)

ばらと草花のエリア(アーチ)
ばらと草花のエリア(アーチ)
要所要所でアーチやガーランドなどの仕立物が配置されており、立体的で見栄えがします。
なお、つるバラは5月末~6月中旬頃に花をたくさん咲かせるものが多く、秋バラの季節はあまり花が見られないことは留意しておきましょう。

ばらと草花のエリア(バラと草花)

ばらと草花のエリア
ばらと草花のエリア
バラと、草花とのバランスを考慮した写真のような植栽は、ガーデナーのセンスが問われます。
また、葉色の変化が楽しめるので、季節を通じて見所があるのも魅力です。

ばらと草花のエリア(ローズカフェ)

ローズカフェ
このエリアにはローズカフェや噴水があり、休憩できる場所も多いです。
美しい花々を見ながら、のんびりするのも良いでしょう。

ばらと草花のエリア(秋の景色)

ばらと草花のエリア(秋の花壇)
リーフプランツやグラス類のある庭
秋はつるバラの開花が少なくなり、全体的な花のボリューム感は落ちますが、ダリアや、秋に咲く宿根草、ローズピップ(バラの実)、紅葉する葉、穂をつけるグラス類などが見ごろとなります。
特に、カフェの裏側にあるリーフプランツやグラス類が多い庭は興味深いです。

殿堂入りしたばらのエリア

殿堂入りしたばらのエリア
世界バラ会議において選ばれた「殿堂入り」したバラたちを展示しているエリア。
芝生が広く取られており、ベンチがあって休憩にも適しています。
写真の白バラはアイスバーグ。美しさと花つきの良さ、丈夫さを併せ持つバラで、年月を超えて愛されています。殿堂入りにふさわしい名花のひとつです。

香りのエリア(春バラ)

香りのエリア
四季咲きのモダンローズを中心に、6種類の香りのタイプ別に、様々な品種のバラを植栽しています。
エリア全体が斜面になっており、花のボリューム感が楽しめるのも魅力です。

香りのエリア(秋バラ)

香りのエリア(秋バラ)
香りはもちろん興味深いのですが、単純にバラの花の美しさも楽しめます。
また、春バラの量感には敵いませんが、植栽されているバラは四季咲きのモダンローズが中心なので、秋にもかなりの開花がみられるのも良い点です。写真は秋バラの季節。

香りのエリア(香りの強いバラを一部紹介)

ダブル・ディライトラ・フランス
フリージア芳純
気になった香りは嗅いでみましょう。花の名札にはそれぞれの香りの系統が記され、実際に嗅いでみるとよく分かるかと思います。特にフルーティの香りは分かりやすいでしょう。
なお、香りを嗅ぐときは、クンクンと犬のように嗅ぐのではなく、スーと吸い込むように嗅ぐとよいとのことです。上品に嗅ぐことで、バラの香りがより分かるようになります。
写真1枚目は「ダブル・ディライト」、2枚目は「ラ・フランス」、3枚目は「フリージア」、4枚目は「芳純」。いずれも香りの強いバラとして有名な品種です。

色彩のエリア1

色彩のエリア(白バラ)
色彩のエリア(グラデーション)
越後の雪にちなんだ白バラや、様々な花色のグラデーションが楽しめるエリア。
また、扇状のトレリスにつるバラをはわせて、立体的な花壇を作り出しています。

色彩のエリア2

色彩のエリア(広角)
遠目から全体を通すように見ると、バラの色彩の豊富さが分かって面白いです。
こういったコンセプトのある庭では、個々の花だけに注目するのではなく、庭全体として楽しむように心がけたいです。

受賞バラのエリア

受賞バラのエリア
「国際香りのばら新品種コンクール」で受賞した品種が植栽されています。
他のバラ園では見られないような珍しい品種が多く、興味深いです。

国際香りのばら新品種コンクール試作場

国際香りのばら新品種コンクール試作場
実は「国際香りのばら新品種コンクール」はここ国営越後丘陵公園で開催、審査が行われています。
応募された新品種は、この試作場に植えられ、同じ条件で栽培されたあと、2年目の春と秋に審査が行われているとのことです。
このような香りにこだわったバラのコンクールは珍しく、香りのばら園を称するにふさわしい試みだと思います。

ステージと試作場を見下ろす景色

ステージと試作場を見下ろす景色
開放感のある伸び伸びとした景観は見所の一つ。
周囲を森や丘に囲まれ、余計なものが見えないのも魅力です。

健康ゾーンのその他の見所

バラ園以外にも、健康ゾーンには様々な見どころがあります。
ここでは、主に花や植物の見所について紹介します。

花と緑の館

花と緑の館
軽飲食ができる売店やレストラン、園内案内所などが入る立派な建物。休憩もできるので、散策に疲れたら立ち寄ってみるとよいでしょう。
また、イベント時は建物内の広場で花の展示がみられることもあります。
写真の展示はアザレアシャクナゲ展。

花の丘

花の丘(コスモス)
春にはチューリップ、秋にはコスモスなどが楽しめる花畑。名前の通り丘状になっており斜面の下からは量感のある景色、丘の上からは見晴らしの良い景色が楽しめます。
花の見頃や、植栽される植物は毎年変化があるので、公式サイトやSNS等で確認しましょう。

音楽噴水

音楽噴水
越の池レストハウス前にある池では、定期的に噴水のショー(音楽噴水)が見られます。
イベント時には池の周囲に花が植栽され、噴水との共演も楽しめます。

ピクニックガーデン

ピクニックガーデン
斜面になった花壇に、季節ごとに様々な花が見られます。
写真は赤花ソバとコキア。

フォリーの丘

フォリーの丘
ポプラの樹が点在する、広々とした芝生の丘。
国営越後丘陵公園のスケール感を感じさせる伸び伸びとした風景です。

雪割草群生地1

雪割草群生地
雪割草群生地
フォリーの丘の頂上付近から少し山道に入ったところに、ユキワリソウの群生地があります。
落ち葉が積もる樹林下で咲く姿が自然な雰囲気です。ただ、ユキワリソウは小さく、目立つ花ではないため、林の中で花が点在して咲くようなイメージなのは承知のこと。

雪割草群生地2


咲き方や花色には変化があります。
見頃は4月上旬~中旬頃ですが、その年の寒さや積雪の状況により見頃の時期が変化します。
公式サイトやSNS等を確認して訪れるとよいでしょう。

展望台と、展望台から見た越後三山

展望台
展望台から見た越後三山
標高230mの高台に建つ展望台。建物の形に合わせた、斜めに上るエレベーターが面白いです。
展望台の上部からは、越後三山や巻機山などの大パノラマが楽しめます。

展望台から見たバラ園

展望台から見たバラ園
展望台からは、先ほど観賞したバラ園の景色も眺められます。
肉眼だと遠くて見づらいので、望遠鏡やズームレンズがあると、より楽しめるでしょう。

里山フィールドミュージアム

里山口から直接入るか、あるいは健康ゾーン側から園内バスを使って移動できる、北陸の自然や文化が体験できるゾーン。
花としては、春に咲くカタクリの大群落が大きな見所となります。この季節に訪れたならば、ぜひ立ち寄りたいエリアです。

古民家

古民家
長岡市にあった、江戸時代後期に建てられた古民家を復元したもの。
園内バスの停留所があり、カタクリの大群生が見たい場合はここで降車しましょう。

カタクリ大群落1

カタクリ大群落
古民家から少し歩いた所にあるカタクリの大群落。
斜面になっているので見学するのは少し大変ですが、そのぶん花の量感が楽しめます。
こちらもユキワリソウ同様、目立つ花ではないことは承知しておきましょう。そのため、かなりの大群落であるにもかかわらず、広角の写真で見るとあまり咲いているように見えないです。

カタクリ大群落2

カタクリ大群落(望遠)
望遠レンズで撮った写真。花がたくさん咲いているのが分かると思います。実際に目で見るとカタクリの株数に驚かされます。
なお、例年4月初旬〜中旬にかけて「かたくり百万株まつり」が開催されています。こちらも開花最盛期が大きく変化するので、公式サイトやSNS等を確認して訪れるとよいでしょう。

里山交流館えちごにあん

里山交流館えちごにあんクロサンショウウオ
里山の様々な情報を発信している立派な建物。里山エリアの拠点的な施設となっています。
水辺の生き物の水槽など興味深い展示もあるので、立ち寄ってみるとよいでしょう。
写真2枚目はこちらを見つめるクロサンショウウオ。

花湿地

花湿地
デッキ状の遊歩道で巡れる湿地。水辺の植物や、様々な生き物を観察することができます。
里山の風景を思わせる、のどかな景色です。

園内の共通事項について

園内全般について簡単に留意点をコメントします。

各種イベント

秋のハロウィンディスプレイ
写真は、秋に開催されるハロウィンのイベント。
イベント時にはバラ園を含む、園内で飾り付けが行われることがあります。また、併せてライトアップが行われる期間もあるので、公式サイトやSNS等をチェックしてみるとよいでしょう。

園内の道

舗装路段差のある山道
園内の道は歩きやすい歩行者用の舗装路から、車道、木道、山道まで振れ幅が大きいです。
森の中を歩き回りたい場合は、スニーカーなど歩きやすい靴を推奨します。

園内バス

園内バス
公園は健康ゾーンと里山フィールドミュージアムの2つに分かれています。この二つの中心部は徒歩で片道1時間以上と距離が非常に離れており、歩いて巡るのはしんどいです。
そこで、園内の主要箇所を巡る無料の園内バスを活用しましょう。
ただ、この園内バスは基本的に土日祝日のみの運行となっています。平日にはバスが無いので注意しましょう。もし、春のカタクリの季節に訪れたならば、最初から里山口側にアクセスするか、バスのある土日祝に訪れるとよいでしょう。

施設の概要

場所
新潟県長岡市宮本東方町字三ツ又1950−1

交通手段
■公共交通機関
○ウェルカムゲート
JR「長岡」駅から関原=ニュータウン=越後丘陵公園線「越後丘陵公園」下車、徒歩すぐ。
※12~3月は手前の「陽光台4丁目」までの運行。
○里山口
JR「長岡」駅から親沢=塚山=小国線「親沢」下車、徒歩20分。
※12~3月は里山口が閉鎖されます。
■車
○ウェルカムゲート(正面口)
関越自動車道「長岡IC」から約10分。
○里山口
関越自動車道「長岡IC」から約15分。
ウェルカムゲート、里山口ともに専用駐車場あり(有料)
※12~3月は里山口が閉鎖されます。

入場料・休館日・開園時間は下記URLを参照
URL:https://echigo-park.jp/

My impression

庭園デザイン★★★★
バラ園は原種系や殿堂入りのバラなど、種類やテーマで区分けされたデザイン。特に、バラと草花を合わせたエリアは華々しく見応えがあります。このエリアは高低差が少ないですが、アーチやポールにつるバラを組み合わせて変化を出しているのが良いです。また、バラの植栽エリアの多くが芝生になっているのも良い点で、庭園的な趣を強くしています。
バラ園以外の公園全体としては、丘陵の高低差を生かした変化のあるデザインとなっており、健康ゾーンのすり鉢状になった広大な芝生広場と、それを見下ろす丘といった伸びやかなエリア。里山フィールドミュージアムの軽いハイキングや森林浴が楽しめる山中の遊歩道や、谷側の古民家や湿地があるのどかなエリアといった形で、それぞれ趣向が異なる雰囲気を楽しめます。

植物充実度★★★★
バラは種類や本数が多いです。特に香りが良いものや、原種系・野生系の品種が充実しています。バラ園内にある下草の草花は宿根草やグラス類が多く、こちらも充実度が高いです。
また、カタクリやユキワリソウといった群落のほか、そのほかの山野草類も多いです。さらに、チューリップやコスモスの花畑、アジサイの群落なども楽しめます。
花木や樹木類も多く、森林浴を目的に訪れるのも良いでしょう。
植物の管理状態は良好です。

娯楽度★★★★
春バラの最盛期は誰にでも勧められるほど美しい景色が楽しめます。つるバラの開花が少ない秋バラの季節はやや落ち着いた印象ですが、花の丘のコスモスが同時に楽しめるうえ、四季咲きのモダンローズも多く比較的見栄えがします。
カタクリやユキワリソウが咲く季節も良いですが、花が派手ではないため、野草が好きな方向け。
それ以外の季節は派手な景色は望めず、ゆったり散策するのに向いています。
花以外にも、遊具や自然散策といった各種レクリエーションが多く、そういったことが楽しめるなら娯楽度はより高くなるでしょう。この場合は丸1日滞在するつもりでいるとよいと思います。
周辺観光は、新潟県立歴史博物館や新潟県立近代美術館、長岡花火ミュージアムのある道の駅ながおか花火館があります。グルメは江口だんご本店が有名です。花が楽しみたいなら雪国植物園がおすすめ。ただ、いずれの施設も自家用車向きで、公園に向かうバスの経路から外れた位置にある点は注意。
個人的には、少し距離が離れていますが、美しいガーデンがある、みつけイングリッシュガーデンもおすすめします。

混雑度★★★
春バラの最盛期はとても混雑します。秋バラの最盛期や大型連休時も混雑しやすいです。春バラ最盛期にゆっくり観賞したいなら、平日に訪問するとよいでしょう。特に、バラ園内のアーチ部分を人を入れずに撮影したいとなれば、朝一番に訪れるなど工夫が必要です。それ以外の季節は混雑することは少ないです。
施設内は非常に広く、オープンスペースも数多くあります。混雑時でもゆっくりできる場所はいくらでもあるでしょう。そのため、混雑度の評価もやや低めとなっています。

交通の便★★★★
公共交通機関利用の場合、駅から歩ける距離ではありませんが、バスの便は比較的多くあるので困ることは少ないでしょう。新幹線等で訪れる場合は時刻表や乗り換え案内を確認しておきましょう。基本的にはウェルカムゲート側へのアクセスが主となっており、里山口側にはアクセスしづらいです。
車の場合、大きな専用の駐車場があり、特に問題はないでしょう。来園目的によって正面口(ウェルカムゲート側)と、里山口を選べるのが利点です。

総合満足度★★★★★
国営公園ということもあり、レクリエーションが主役かと思いきや、信越・北陸地方としては有数の規模のバラ園と、大規模な花畑、各種花の群落が楽しめる、花好きの方にも十分お勧めできる施設となっています。特にバラ園は「香り」にこだわるという比較的珍しいテーマであり、実際に香りのよい様々な種類のバラが植えられているため興味深いです。
また、バラ単独ではなく、バラと草花を組み合わせたエリアがあるのも個人的に好印象。
施設の規模が非常に大きく変化もあるため、様々な楽しみ方ができる点は良いですが、一方で、徒歩で各ゾーンを巡ることが難しくなっています。そのため、園内バスの運行が土日祝のみなことは少し残念。バスの運行が無い平日は電動自転車を貸し出す等、何か工夫があっても良いかもしれません。

遠方から訪れる場合のお勧めの季節(赤文字は特におすすめ)
春(カタクリ、ユキワリソウ)
晩春(新緑、チューリップ)
初夏(春バラ)
秋(秋バラ、コスモス)

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