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庭園・ガーデン・植物園・花の名所の訪問記

庭園・ガーデン・植物園・花の名所の訪問記

水郷佐原あやめパーク

千葉県香取市にあるフラワーパーク。名称に「あやめ」とありますが、いわゆるアヤメではなく同じアヤメ科のハナショウブがメインとなっています。
島や橋、水面を配して水郷の風景を再現しているのが大きな特徴で、水のある景色が似合うハナショウブにぴったりの展示となっています。
なお、以前は水郷佐原水生植物園と呼称していました。

園内地図(画像をクリックすると大きくなります)

水郷佐原あやめパークの園内地図
園内は比較的狭いですが、ゆっくり見て回るにはちょうどよい大きさ。
池を中心にした回遊式で、樹木もシダレヤナギなど水辺のものが多用されています。
特に順路はないので、ここでは大まかな見所を紹介していきます。

ショウブ田

ショウブ田
ショウブ田
なんといっても目玉はハナショウブ。約400品種150万株ということで種類も数も桁違いです。
花の最盛期には圧巻の景色が広がります

水郷にふさわしい雰囲気づくり(島と橋)

水郷にふさわしい雰囲気づくり(島と橋)
島や橋、水面、シダレヤナギなどを配して水郷の雰囲気を表しています。
一般的な花菖蒲園のように、畑にただハナショウブが植えられているというだけではないのが、この水郷佐原あやめパークの大きな魅力となっています。

水郷にふさわしい雰囲気づくり(舟)

水郷にふさわしい雰囲気づくり(舟)
あやめ祭り期間中に運行されるサッパ舟も雰囲気づくりに欠かせない要素です。
花の最盛期であれば土日平日問わず、かなりの頻度で舟が園内を行き交うのも良いところで、園内を彩る添景としての役目も果たしています。

展望台から見た景色

展望台から見た景色(池)
展望台から見た景色(ショウブ田)
池の奥には園全体を見渡せる展望台があります。
高低差の少ない園内なので、変化のある景色を楽しめる試みはありがたいです。

園内舟めぐり

園内舟めぐり
先ほど紹介しましたが、園内にある舟乗り場から園内めぐりのサッパ舟に乗ることができます。
乗舟には別料金がかかりますが、一度は体験しておきたいです。

園内舟めぐり(乗船時)

園内舟めぐり(乗船時)
舟に乗ると目線はかなり低くなり、水面すれすれから花を見るような印象になります。スイレンを見るのには良いですが、ハナショウブからはやや遠い目線となっています。
ハナショウブの時期はどちらかといえば、花を楽しむというよりも乗船体験を楽しむつもりでいるとよいでしょう。一方、ハスの時期は花との距離が近くなるので満足度が高いです。

スイレン池

スイレン池
ハナショウブの開花期には、脇役的な位置づけになりますがスイレンの花も多くみられます。
スイレンの花は午後には閉じてしまうことが多いので、なるべく午前中に観賞するとよいでしょう。

ハス回廊


ハスも数が多く約300種の品種あり、格子状に整備されたハス回廊では間近で珍しく美しいハスを見ることができます。また、園内の池でもハスの花が見られます。
ただ、ハスの最盛期は7月ごろでハナショウブの最盛期とは合いません。

フジのトンネル


長くて立派なフジの花のトンネル。園内には他にもいくつか藤棚があります。花時は美しい姿を見せることでしょう。
ただ、フジの花の最盛期は4月末〜5月初旬ごろで、ハナショウブ、ハスともに開花期は重なりません。

お似合いの衣装で花摘み作業中

お似合いの服で花摘み作業中
女性の作業の方は早乙女風の衣装を着用しています。
こういった配慮は大事ですね。合理的な上に、添景として魅せることもできます。

周囲は水郷の里

周囲は水郷の里
十二橋めぐりの観光船
周辺は水路や田んぼが多い長閑な雰囲気で、園からは与田浦の景色が見渡せます。そのため余計な建物などが少ない開放感のある景色となっています。
その、与田浦側の岸辺からは十二橋めぐりの観光船が出ています。観光船の乗船時間は長めなので、興味がある場合は観賞時間を十分取っておくとよいでしょう。

施設の概要

場所
千葉県香取市扇島1873-2

交通手段
■公共交通機関
あやめ祭り期間中は佐原駅から臨時のシャトルバスあり。時刻表は公式HP参照のこと。
※佐原駅からの路線バスは減便により実質的に廃止となっています。
関東鉄道の高速バスの便が東京駅からあり。時刻表は公式HP参照のこと。
■車
東関東道「佐原香取IC」または「大栄IC」から約30分。
圏央道「神埼IC」から約25分。
駐車場あり(無料)

入場料・休館日・開園時間は下記URLを参照
URL:https://ayamepark.jp/

My impression

庭園デザイン★★★★
大きな池と島、それを渡る橋がいくつもあり水郷の雰囲気を作り出しています。平坦な敷地ですが、それを感じさせない変化の多い園内となっています。樹木もシダレヤナギやアジサイなど水辺の景色に合うものが多く植栽されています。
意外にもハナショウブの名所は、こういった水辺の景色と合わせた施設が少なく貴重な存在です。
また、与田浦に面した長閑な周辺の風景も、借景としての役目を果たしています。

植物充実度★★★
ハナショウブは数・品種ともに多く満足できるでしょう。ハナショウブと開花期が重なる花はスイレンやアジサイ、バラなどですがハナショウブには植栽数・品種ともに大きく及びません。
なお、ハスやフジなどの花もありますが、開花期に公共交通機関がないため評価しません。
植物の管理状態は良好で、定期的に花摘みをしてくれているのは有難いです。

娯楽度★★★★
ハナショウブの最盛期は花が特別に好きでなくとも楽しめます。それ以外の季節は派手な景色は望めず、ゆったり散策するのに向いています。
園内には軽食を頼めるカフェや売店がありますが、あやめ祭りの際には出店も出ます。
周辺観光ならば、小野川に沿った小江戸佐原の街並みを巡るのが良いでしょう。伊能忠敬記念館など興味深い施設もあります。なお、帰りのシャトルバスで佐原町並み交流館に下車することも可能です。
寺社仏閣に興味があるならば、佐原駅からバスが出ている香取神宮を参拝するのもよいでしょう。
花巡りをしたいのであれば、同じハナショウブが見所で、距離的に近い水郷潮来あやめ園を一緒に楽しむのもよいでしょう。佐原駅から鹿島線に乗車し、潮来駅で下車して歩いて行けます。

混雑度★★★★
あやめ祭り期間中はとても混雑します。特に土日の混雑はかなりのものなので、土日に訪れるなら時間に余裕を持っていきましょう。スイレンの花も楽しめるので、朝早めに来ることをお勧めします。

交通の便★★★
公共交通機関利用の場合、駅から歩ける距離ではありませんが、あやめ祭り期間中はシャトルバスの便はあります。平日は便数がそれほど多くないので事前に確認を。一方、土日は車内が混雑するうえ乗車時間も長いので、早めにバス停に並んでおくことをお勧めします。
なお、路線バスの減便などの影響により、ハナショウブ以外の時期は実質的に公共交通機関の便がないに等しい状況となっています。
車の場合、臨時も含め専用の広い駐車場があり困ることは少ないでしょう。

総合満足度★★★★
見学しやすい大きさの園内で、ハナショウブの見ごたえは十分。花の最盛期に訪れれば失望することはないでしょう。ただ、開花最盛期からズレると、その他の花が少ないだけにガッカリすることもあるので、その年の開花状況を公式HPやSNSなどでよく確認しましょう。
水路が縦横にある水郷の雰囲気が再現されています。園内を巡る舟も含め、他のハナショウブの名所とは異なる個性があります。
ただ、リニューアル以前の、樹木が大きく水際も自然な雰囲気があった頃に比べると、全体的にあっさりしている印象があるのは、管理上必要な措置とはいえやや残念。

備考1:ハスの開花期は、以前あったシャトルバスがなくなり、路線バスも減便されたため、公共交通機関の便が無いに等しい状況となっています。ハスの見応えとしては十分でお勧めしたいのですが…。自家用車がある方にはお勧めします。

備考2:園内は橋や築山、展望台などを除けばほぼ平坦な敷地で、バリアフリー的には良好な施設となっています。

備考3:ハナショウブは畑状の部分にまとまって植えられており、あまり池の近くに植えられていません。ハナショウブは水辺が好きそうなイメージがありますが、実際には水を株元まで浸す抽水栽培を嫌うため、栽培管理上致し方ないといえるでしょう。

備考4:あやめ祭り期間の土日に限り、茨城県の水郷潮来あやめ園との相互シャトル船が運行がされています。時期や時刻表、乗船場所は公式HPや現地の掲示などを確認ください。

遠方から訪れる場合のお勧めの季節
6月上旬~中旬(ハナショウブ)

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