花色:
学名:Rhododendron
漢字名:石楠花
科名:ツツジ科
分類:常緑低木
原産地:日本、北半球の寒帯〜亜熱帯(園芸品種)
大きさ:背丈0.3〜3.0m、横幅0.4〜2.5m、葉10〜18cm(互生)
主な見所:花(4〜6月)
自然状態でも交雑種が多く、種類は多岐にわたります。園芸品種も様々なものがあり、最近ではアジア原産種の改良交雑品種(セイヨウシャクナゲ)がよく出回っています。
ほとんどが半球状の大きな花序をつけます。花色は赤〜白、黄色です。葉は輪生しやや下垂します、葉形は広楕円形で肉厚、光沢があります。葉縁が裏がえったり、葉裏に毛が生える種もあります。粗めに枝分かれしてこんもり育ちますが、樹高の高くなる品種はやや間延びした印象になります。
品種によって性質や株の大きさがかなり異なるので、植栽場所や地域によって選別が必要です。
アズマシャクナゲなどの日本原産種や、それに近い品種は半日陰を好み暑さに弱く、アジア原産種に近い品種は比較的日当たりのよい場所を好み暑さにもやや強い傾向があります。ただ交雑が進んでいるので確認が必要です。
肥沃で通気性のある、やや湿り気のある土に植えつけます。酸性用土を好むので事前に腐葉土やピートモスなどをよく混ぜ込むといいでしょう。通気性の改善も同時に出来ます。空気の乾燥に弱いので空っ風が吹きぬけるような場所はよくありません。
耐暑性が弱いものが多いですが、品種を選び適地に植えれば暖地でも十分維持成長が可能です。
移植の欄にもあるように植えつけ時は土壌をよく確認して植え込みます。
和風や洋風、自然風の庭のいずれにも合いますが、葉が大きくなり輪生という装飾的なつきかたをするので周りの植物と合うかどうか確かめます。
根じめや樹木の寄せ植えなどに用いられています。大きくなる洋種は単植されることも多いです。大きめの木の東側に根じめとして植えるのが性質的にも、見た目的にも一番合っています。
狭い庭では樹高があまり高くならない品種を選ぶとよいでしょう。
高木の根じめにしたシャクナゲ。見た目的にも性質的にも合っており定番の配植例です。
日本原産種とその改良品種、外国産の品種が出回っています。性質は様々。
下記は、有名なものや育てやすいものを抜粋しています。
■日本原産種
○ヤクシマシャクナゲ(R. yakushimanum)
暖地向き。屋久島の特産種。矮性で葉縁がそり返ります。暑さに強く地植えもされます。交配親としても重要な存在。花弁は5枚。葉裏の毛は褐色で長く細かい。
○ホンシャクナゲ(R. japonoheptamerum)
中間地向き。ツクシシャクナゲの変種。日本の中部以西に自生しています。地植えされることも多い。花色は薄赤紫〜白。花弁は7枚。葉裏の毛は褐色で荒め。
○アズマシャクナゲ(R. degronianum)
中間地向き。ツクシシャクナゲの変種。日本の中部以東に自生しています。地植えされることも多い。花色は薄赤紫〜白。花弁は5枚。葉裏の毛は淡褐色で細かい。
○ツクシシャクナゲ(R. metternichii)
中間地向き。九州に自生しています。耐暑性があり地植えされることも多い。花色は薄赤紫〜白。花弁は7枚。葉裏の毛は褐色で密生します
○ホソバシャクナゲ(R. makinoi)
中間地向き。愛知・静岡・長野の県境に自生しています。耐暑性があり地植えされることも多い。花色は明るい赤紫。花弁は5枚。名前の通りの細葉が特徴。葉裏の毛は暗褐色で密生します。
○ハクサンシャクナゲ(R. brachycarpum)
寒冷地向き。本州や北海道の高山帯に自生しています。耐暑性がなく暖地で地植えされることはまれです。花色は薄いピンク〜白。花弁は5枚。葉は無毛。比較的大きくなります。
○キバナシャクナゲ(R. aureum)
寒冷地向き。本州や北海道の高山に自生しています。耐暑性がなく暖地で地植えされることはまれです。花色は黄色。花弁は5枚。葉裏は無毛。株は背丈が低く、横に広がるように育ちます。
■アジア原産種の系統(セイヨウシャクナゲ)
「エレガンス」:大型種。赤紫花。耐暑性あり。
「サッフォー」:白に赤紫のブロッチが入ります。耐暑性あり。
「パープルスプレンダー」:紫花。耐暑性あり。
「バルカン」:濃赤花。耐暑性あり。
「太陽」
赤紫の大きな花が咲き、樹高も大きくなります。耐暑性が高く丈夫な品種のひとつです。
狭い場所だと持て余し気味になるので、なるべく広い場所に植えましょう。
「プレジデント・ルーズベルト」
白と赤紫の咲き分け。葉に入る中斑が特徴。耐暑性あり。
「紅衣」
白と赤紫の咲き分け。耐暑性は普通。
「ネリアーブ」
交雑品種。真っ赤な花を咲かせます。花つきが良く、樹勢も強いです。
花芽が丸っこいのに対し、葉芽は尖りぎみです(写真1枚目が花芽、写真2枚目が葉芽)
慣れれば見分けるのは簡単なので、剪定時は花芽を残すようにしましょう。
確実ではありませんが、葉裏に毛が生えているのが日本原産種やその改良種(写真1枚目)、ほとんど無毛なのがセイヨウシャクナゲ(写真2枚目)と判断すれば大きな間違いはないでしょう。
ただ、外国産種も有毛のものがあったり、交雑種もあるので区別が曖昧なことは留意のこと。
大船フラワーセンターで見かけた、シャクナゲ「太陽」の立派な成木。
オススメ度:★★★★★
暑さや病害虫に弱いといわれていますが、暖地でも環境のよい場所さえ選べば丈夫に育ち、美しい花を毎年咲かせてくれます。個人的にはツツジよりも好きな花です。
ただ、品種にもよりますが、大きくなるものが多いので配植には注意。